自分のことよりも他人のことを優先して考える、とても優しい性格の北山さん。ヘルパーに対していつも「ありがとう」の言葉をかけてくれます。ご家族は気さくで温かく、月に2~3回の娘さんの帰省を楽しみにしています。
私は高校生の時から、「将来は自立して、一人暮らしをしたい」と思っていました。福祉ホーム(※1)への入居が決まった時、自治体の障がい福祉担当の方から、ヘルパーさんに支援を受けながら生活できることを教えてもらい、まずは自宅で食事介助のホームヘルプサービスを利用し始めました。今まで家族に手伝ってもらいながら生活をしていたので、私も家族もホームヘルプのことはよく知りませんでしたが、一人暮らしをする前に、少し利用ができて、福祉ホームへの入居に対して、気持ちに余裕を持つことができました。
そして、平成24年4月から、福祉ホームへ入居し、ホームヘルプを利用しながら一人暮らしを始めました。
※1福祉ホーム・・・住居を必要としている人に、低額な料金で居室その他の設備を提供し、日常生活に必要な支援を行う施設。
今までは、家族に合わせた生活になりがちでしたが、一人暮らしをしてホームヘルプサービスを利用したことで、「自分の生活スタイル」に合わせた自由な時間が増えたと思います。ヘルパーさんがいることで自分のリズムで生活を送れるようにもなり、服装や髪型、流行の事などたくさんの話もできるようになりました。また、私の体調が良くない時は、いつも気づいて声をかけてくれるので嬉しいです。
娘は生活の全てにおいて介助が必要なため、自宅以外で生活させることなど考えたこともなく、一人暮らしなど絶対に無理と思っていました。当初は、一人でちゃんと生活できているか不安もありましたが、帰省した娘がヘルパーさんとの話や一人暮らしの様子を嬉しそうに話す姿を見て安心しました。
「一人暮らしをしたい」という希望をホームヘルプを利用したことで叶えた娘が自分らしい生活を送る姿を見て、私もヘルパーさんにとても感謝しています。
自宅で生活している時は、ホームヘルプの利用を考えたこともなかったので、ヘルパーさんが何をしてくれるのか、どんな人が来るのか不安もありました。しかし、今ではヘルパーさんのことを「もう一人のお母さん」のように思っています。
ホームヘルプを利用して自由な時間を持てるようになったので、今後は、買物に行って洋服を見たり、映画を観に行きたいと思います。また、私は年齢や障がいに関わらず誰にでも利用可能な製品や環境を作る『ユニバーサルデザイン』に興味があるので、今の自分の経験から不自由に感じていることを改善していく仕事に就けるように勉強したり、スポーツのボッチャ(※2)などにも挑戦してみようと思っています。
娘がホームヘルプを利用するまで、ヘルパーさんは「介護のお仕事をする人」と思っていました。しかし、実際に利用してみるとヘルパーさんはまるで娘の「友人」のように、娘の気持ちを支えてくれている存在のように感じています。
※2ボッチャとは・・・パラリンピックの正式種目。個人またはチームで行い、赤または青のボールを順番に投げるか転がし、ジャックと呼ばれる白い的球にどれだけ近づけられるかを競うスポーツ。