自分だけでなく、家族や友人など、すべての人が関わる可能性のある「障がい」。
障がい福祉サービスは、生活を支援する有効な社会資源です。
いつ身近に起こるかわからないからこそ、そのとき慌てないために必要な知識を身につけておきましょう。
障がい福祉サービスとは、身体や精神に障がいのある方や特定の疾患のある方が地域のなかで生活を続けていけるよう、支援するサービスのことです。
自宅や施設での介護や自立訓練などのさまざまなサービスを、原則として利用料金の1割負担で受けることができます。
障害者総合支援法におけるサービスは、個人の状況をふまえて決定される「障がい福祉サービス」と、市町村の創意工夫によって柔軟に決定される「地域生活支援事業」の大きく2つに分かれています。
サービスの利用を開始するまでには、「利用者」「市区町村」「サービス提供事業者」の3者がそれぞれ連携しながら所定の手続きを行っていきます。
障がい福祉サービスの利用を希望する場合は、まずは住んでいる市町村の障害福祉担当窓口、もしくは近隣の相談支援事業者へ相談し、サービス利用申請を行います。
市区町村の調査員が面談を行い、現在の状況を調査します。その後、医師等の意見を参考にしながら、非該当、障害支援区分1から6の認定が行われます。
市町村にて、申請者本人・家族の状況や要望などを踏まえてサービスの支給量が決定され、本人に通知されます。
支給決定の内容に基づき、原則として指定特定相談支援事業者にて「サービス等利用計画」が作成されます。
指定特定相談支援事業者と連携のうえ、サービス提供事業所を選び、利用者とサービス提供事業所が契約を結んでサービスがスタートします。
日本の障がい者数は約740万人。そのうち障がい福祉サービスを利用しているのは約70万人で、サービス利用率にすると全体のわずか9%程度に留まっています。(内閣府と厚生労働省の平成24年4月の発表データによる)
サービスを利用できる当事者や、そのサービスを調整するケアマネジャー・ソーシャルワーカーといった福祉のプロの間ですらも、障がい福祉サービスのしくみはまだあまり知られていないのが現状です。
しかし、実際に利用された方の声に耳を傾けてみると、障がい福祉サービスの重要性に気づくことができます。
障がい福祉サービスを受けるうえで不可欠なのが、居住する市区町村役所での申請や相談です。 実際に窓口で寄せられている疑問や質問をご紹介します。
障がい福祉サービスでは、利用者個々の状況、環境や要望に応じて、利用できるサービス種別とその量を市町村にてあらかじめ決定するため、障がいの種類や障害支援区分が同じ場合でも、利用できるサービスが異なります。
障がい福祉サービスを受けるには、お住まいの市区町村へ申請し、障害支援区分等の調査を受け、支給決定後に交付される「障害福祉サービス受給者証」が必要です。
支給決定の際には、身体障がい者を除き、障害者手帳を所持していることは必須要件にはなっていません。障害者手帳を持っていない知的障がい・精神障がいや難病等の方で、障がい福祉サービスの利用を希望される方は、お近くの当社事業所へご相談ください。
自治体の窓口が申請を受理した後、都道府県から手帳が発行され、利用者の手元に届きます。(身体障害者手帳及び精神保健福祉手帳は、自治体の窓口でお渡ししています。)
その期間は約1ヶ月(精神保健福祉手帳は2~3ヶ月程度)かかります。障害者手帳の申請の際には、所定の診断書の提出や相談所などの機関での判定が必要となりますので、あらかじめ、自治体の窓口の職員と相談をしておくことをお勧めします。
たとえば、1時間3,880円の身体介護サービスの場合、障がい福祉サービスにおいては388円で利用することができます。ただし、利用するサービス種別、時間帯や地域によって金額は異なります。また、障がい福祉サービスでは、所得に応じて利用者負担の上限がありますので、詳しくは市区町村の窓口でご相談ください。
サービス内容や機能から、障がい福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合には、基本的に介護保険が優先されますが、利用者の状況に応じて両方のサービスを併用することができます。たとえば、同行援護などの障がい福祉サービス特有のサービスや、介護保険における支給限度基準額の制約により適当と認められるサービス量を確保できない場合などがそれにあたります。