2017年02月28日
高齢者に人気の趣味・娯楽といえば「旅行」ですが、75歳以上の後期高齢者になると旅行者はぐっと減少します。 理由は「要介護になったら旅行するなんて無理」とあきらめる高齢者や介護者が多いため。
しかし本当に要介護状態の高齢者が旅行するのは無理なのでしょうか。
要介護の高齢者ご本人やその介護者が、外出や旅行に抱く具体的な不安は何でしょうか。
「杖歩行や車椅子のため、移動が大変」
「外出先でのトイレが心配」
「宿泊先での入浴が不安」
体の機能の低下が外出や旅行の障壁になります。
確かに若かった頃と同じように旅行したりショッピングや観劇を楽しむことは難しいかもしれませんが、障壁になっている体の機能低下をカバーするサービスが実はたくさんあります。
実際利用された方は皆さん口をそろえて「もっと早く使えばよかった」「出かける自信がついた」と笑顔になり、繰り返しサービスを利用する「リピーター」になります。
そこで、高齢者ならではのお出かけの楽しみ方を紹介します。
外出支援のサービスには、自治体や民間タクシー会社が運営している移送サービスがあり、ドライバーに介助講習を実施しているタクシー会社も増えており、安心して乗降できます。
またお出かけに介助が必要なときは、介護事業所による介護保険外サービスの付き添いサービスがあります。介護資格を持ったスタッフが付き添うため、移動やトイレが心配な方でも安心して外出できます。
さらに旅行先での体調の急変が心配な方には、看護師の同行サービスもあります。
ほかにも、介護付きのバリアフリー旅行を企画している旅行代理店もあります。一般ツアーよりも時間にゆとりをもたせたツアーコースを設定する代理店や、宿泊先の食事や入浴の要望にも応えてくれる代理店もあり、高齢者・介護者ともに安心して参加できます。車椅子で海外旅行を楽しんでいる旅慣れた方もいます。
家族と一緒にお出かけや旅行をするなら福祉車両のレンタカーがおすすめです。デイサービスの送迎車と同様に車椅子のままで乗車できるタイプや、乗降しやすいように座面が回転する福祉車両などを借りることができます。すべてのレンタカー店が保有しているわけではないので、あらかじめ予約しておきましょう。バリアフリーを考えると自動車旅行はおすすめです。鉄道駅や空港のように施設内の階段や乗物に乗降する時の段差の心配がありませんし、高速道路のサービスエリアには車椅子で利用しやすいトイレがあるからです。
生活の質(QOL)を上げるということは、その人らしい生活を送ることにより、人生の満足度を上げることです。
例えば観劇やコンサートで芸術に触れたり、懐かしい旧友に逢いおしゃべりを楽しんだり、旅先でご当地グルメや絶景を堪能することは、その人の心を潤します。
また、外出するために服装を考え、化粧や髭を剃るなど身支度を整えることも、「その人らしさ」を表現する大切な行為です。
要介護になっても、外出により社会との接点を持ち続けることは心身ともに健康に生活していく上で大切なことです。
また、外出や旅行が体の機能の維持向上につながる場合もあります。
元気に外出するための健康管理や、リハビリに励む方もいるでしょう。
食材の買い物ひとつをとっても、ヘルパーに買い物を頼むこともできますが、自分で食材を手に取り選びながら献立を考えるなど、生活意欲が高まることもあります。
家族や外出先の人々に迷惑をかけるのではと外出を控えている方や、体力的に自信がなく外出をあきらめている方こそ、介護保険サービスと保険外サービスを上手に組み合わせて「出かける楽しさ」を取り戻してみてはいかがでしょうか。