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転倒の不安や恐怖心から日常生活に支障をきたす「転倒後症候群」

2018年02月27日

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転倒を経験することで歩くことに不安や恐怖を感じたり、歩くことへの自信を失ってしまう「転倒後症候群」。 一般的にはあまり知られていませんが、「転倒後症候群」は転倒リスクと転倒後のケアにおける主要な課題のひとつです。 「転倒後症候群」による弊害を少しでも減らすためにはどのようなことができるのか、どういったケアが必要なのかを考えていきましょう。

高齢者の転倒事故の多くは自宅など屋内で起こっている

 加齢により足腰の弱った高齢者に多い事故として、まず挙げられるのが「転倒」です。転倒事故の多くは屋外ではなく、自宅など屋内で起きています。

 転倒の主な原因としては、手すりの有無、つまずきやすい小さな段差、滑りやすい床などの「外的要因」と、加齢による筋力や身体機能の低下、服薬の副作用によるふらつきなどの「内的要因」があります。
自宅など屋内での転倒事故は高齢者に限って起こることではありませんが、高齢者の場合は骨折等の深刻なケガにつながる恐れがあります。

 小さな段差につまずいても、身体がそれに反応して身を守ることができれば、大きなケガにはつながりません。しかし、高齢になると、身体の柔軟性や運動神経の衰えなどから、とっさに身を守ることが難しくなります。その結果、転倒して骨折などのケガを負い、寝たきりになってしまうケースも少なくありません。
もちろん、転倒しても大きなケガを負うことなく、普段通りの生活を続けている高齢者は多くいます。しかし、転倒への強い恐れを抱く「転倒恐怖症」になってしまい、身体機能的には歩くことができるのに歩こうとしなくなったり、介護者や福祉用具に必要以上に依存して一人で移動することを躊躇したりして、閉じこもりになってしまいかねないケースがみられます。


転倒への恐れがADL(日常生活動作)を低下させ、さらに転倒のリスクを高める

 高齢者の深刻な転倒事故というと、大腿骨頸部骨折などの大ケガをきっかけに、寝たきりの状態に陥ってしまうというのが、一般的に抱かれているイメージではないでしょうか。
一方で転倒してケガをせずに済んだ場合であっても、歩くことへの自信を喪失して、うつ状態になったり、歩くことに対する恐怖心を抱いたりする「転倒後症候群」に陥った結果、寝たきりの状態になってしまうケースがあります。


 日常の活動量の減少は、ADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)の低下につながり、さらに転倒のリスクを高めるという悪循環を引き起こします。
また、家族が過度に心配して高齢者本人に必要以上に移動を制限したり、介助をしたりした結果、高齢者本人が「廃用症候群」に陥り、「歩けない」「一人でベッドから起きられない」という状態になる場合もあります。

 いずれも、転倒直後は身体的には大きな問題がなかったのに、心理的な要因が身体機能に悪影響を及ぼしてしまったというケースです。

 このように、転倒は高齢者本人に身体的なダメージを与えるだけでなく、高齢者本人とその家族に対しても心理的なダメージを与える恐れがあるのです。


転倒予防に配慮し、転倒後症候群の傾向がある場合は心理的なケアも含めたリハビリなどのケアを

 まず、高齢者本人は定期的に運動やリハビリをし、介護者は居住空間における転倒の外的要因を取り除くなど、転倒予防に努めることが大切です。
もし高齢者本人が転倒してしまい、ケガがなかったとしても、介護者は日々のケアの中で「転倒後症候群」の傾向が見られたら、家族、介護職、医療職が連携し、高齢者本人が適切なリハビリを受けられるよう支援することが必要です。


 転倒を予防するためには、高齢者本人の不安感を取り除く心理的なケアが重要となります。
家族や介護者は、過度な励ましや声掛けにより高齢者本人に負担をかけないよう配慮しつつ、自信を取り戻してもらうために、過去の生活において楽しみにしていたことや日課にしていたことを目標にし、やる気を引き出すなど、さまざまな取り組みが求められます。


 高齢者本人が自分の足で好きなところに行き、日常生活を行うことは、個人の尊厳につながります。もし転倒事故が起きてしまった場合には、「転倒後症候群」が疑われないか注意深く見守り、適切に対応していくことが重要となります。


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