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転倒経験者は3~4倍転倒しやすくなる!? 転倒歴から考える転倒予防

2017年07月20日

  • 健康と生活
  • 福祉用具貸与
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 高齢者がいらっしゃるご家族はもちろん、介護をされているみなさんも、一度は高齢者の転倒について心配したことがあるのではないでしょうか。
 今回は、高齢者の転倒予防について、考えていきます。

それぞれの高齢者の転倒歴に着眼して、転倒予防に努める

 高齢者の屋内の事故としては、転倒がもっとも多く報告されています。 また転倒は、骨折の主な原因であり、大腿骨頸部骨折の8割が転倒によるものと言われており、高齢者にとって転倒は寝たきりの状態に繋がってしまうこともあります。

 そうした転倒を予防するために重要とされているのが「転倒のリスクファクター(危険因子)をひとつでも減らすこと」です。

 転倒のスクファクターには、つまずく原因になり得る小さな段差や、滑る原因になり得る床の素材や状態などの「外的要因」と、高齢者本人の加齢に伴う状態変化や身体的疾患などの「内的要因」、それに加えて「転倒歴」が挙げられます。

そこで、今回注目したいのが「転倒歴」です。


 一般的に、過去1年間に転倒したことがある高齢者は、転倒したことがない方と比べ、約3~4倍転倒しやすくなると言われています。そのため、転倒歴のある高齢者の場合、過去の転倒時の状況を知り、それに合わせて対処することで、より実際的に転倒予防に努めることができます。

過去の転倒時の状況を調べ、今後のリスクを取り除く方法を検討する

 実際に、どのように転倒歴を分析していけばよいか、どうすれば個々に応じた転倒予防につなげられるか、事例を交えて解説していきましょう。

 今回紹介するAさんとBさんは、共に介護者のいない間に転倒されてしまったようです。


 認知症はなくご自身で判断ができるAさんは、徐々にADL(Activities of Daily Living 日常生活動作)が低下して独歩困難になり、転倒を繰り返すようになりました。

 介護者である長女は、Aさんに「歩く際は私が付き添うので呼んでください」と伝えていましたが、どうしても自分でベッドから立ち上がり、転倒を繰り返してしまいます。

 転倒の際のお話をうかがうと、「夜遅くに何回も呼ぶのは抵抗があるし、頑張れば独りで歩けると思った」と発言されていました。

 このような場合には、Aさんの気持ちを考慮し、歩行器を用意して練習することによって「付き添いがなくとも歩行可能」という状況を作ることで改善できました。

 こうすることで、Aさん特有の「長女を呼ぶことに抵抗を感じて独りで歩いてしまう」という転倒に繋がる原因をひとつ取り除くことができました。


 トイレ内で転倒したBさんは、調べてみると、Bさんが軽度の右麻痺であったために、右側にある手すりを持たずに、トイレに行っていたことがわかってきました。

 このような場合は、トイレ内の環境を見直し、両側に手すりを付けるといった対応ができます。こうすることで、「Bさんが使える側に手すりがない」という状況を取り除くことができます。


 また、以下のように転倒したときの状況を分析すれば、今後の転倒リスクの大小を見極め、転倒を未然に防ぐ対策も考えられるでしょう。

転倒時の状況   考えられるリスク
日常動作中に外力なしに転倒した。
(椅子からの立ち上がり時、椅子に座るときなどに転倒した)
筋骨格系の衰えに加え、起立姿勢保持障害(バランス障害)が重度な最重度の転倒のハイリスク者
外力を受けて転倒した。
(突風にあおられて転倒した、ペットなどに飛びつかれて転倒した等)
筋骨格系の衰えに加え、軽度の外力にも抵抗し得ないほどのバランス障害等が疑われる、転倒のハイリスク者
動作中に予期せぬ障害に遭遇した結果として転倒した。
(歩行中の床が濡れていて滑った、敷居につまずいて転倒した等)
筋骨格系の衰えに加え、感覚障害、視覚等の認知機能障害等が疑われる転倒のハイリスク者

「転倒後症候群」について

 骨折に至らなくとも転倒を経験することによって移動することに対して恐怖感を持ち、活動が制限されてしまう「転倒後症候群」が生じることも転倒の持つもうひとつの課題です。

 「転倒後症候群」は、筋力の低下が加速したり、日常生活の様々な活動が阻害されるなど生活の質に大きな影響を及ぼします。

 この「転倒後症候群」については、また後日触れることにしたいと思います。

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