2021年06月23日
同居しているご家族の物忘れが気になってくると、認知症を心配する方も多いでしょう。しかし、認知症以外の原因で物忘れが増えることもあるので、すぐに決めつけることはできません。今回は、認知症と老化による物忘れの違いや、認知症の初期症状、認知症の疑いがある場合の対処法について、ご紹介します。
認知症は、脳細胞が壊れてしまったり、働きが悪くなったりしたために、さまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出てしまう状態のことです。厚生労働省が発表した推計(2012年発表)によると、日本に住む65歳以上の高齢者のうち、2025年にはおよそ約730万人、さらに2030年には830万人を超える人が、認知症を患う可能性があると予測されています。
認知症は、アルツハイマー病をはじめとした、脳の細胞がゆっくりと壊れて脳が萎縮してしまう病気が主な原因といわれています。また、脳梗塞や脳出血の発症によって、脳の酸素や栄養が断たれることで引き起こされるケースもあります。症状としては、記憶力の著しい低下や、会話がうまく繋がらないといったことが挙げられます。
ただし、単なる老化による物忘れや、うつ病などによる記憶力の低下が、認知症と勘違いされることも少なくありません。うつ病は気力の低下や抑うつといった症状が見られますし、老化による物忘れは「日常の出来事の一部」を忘れるといった症状が見られます。
普段と様子が違うからといって、すぐに認知症と決めつけるのは早計です。身近に高齢者の方がいる場合は、認知症の症状を理解しておき、普段から注意深く見守るようにしましょう。
認知症の中には、治療によって改善できるものや、薬によって進行を遅らせることができるものもあります。また早期に発見・対応し、適切な治療につなげることで症状を軽減することも可能です。もし、認知症かもしれないと感じたら、以下の項目をチェックしてみてください。
・人や物の名前が出てこない
・何度も同じことを聞いたり、言ったりする
・物を置いた場所が分からなくなってしまう
・急に頑固になり、怒りっぽくなった
・自分の歳がわからない
・今日が何月何日の何曜日か答えられない
・料理は変わらず作れるが、火を消し忘れることなどがある
・いつも買い物や散歩をしている道が分からなくなる
これらのサインが見られる場合は、初期の認知症かもしれません。また、認知症の場合には、当人が症状を自覚できないケースが大半です。周りの人のケアで、早期に発見・対応し、その人らしい生活を継続できるようサポートしてあげましょう。
認知症の原因となる病気は、いずれも脳に重大なダメージを与えていると考えられるため、そのまま放置してしまうと命にかかわる場合や、重い後遺症が残ったりする恐れがあります。それだけに、早期発見・早期治療が重要なのです。できるだけ早い段階で医師の診察を受けるか、近くの地域包括支援センターや、介護事業所に相談してみてください。
医師に相談する際は、まずはいつも診てもらっている、かかりつけの医療機関に相談しましょう。普段の様子と比較したり、今までのカルテを見たりして、総合的に判断してもらえるでしょう。
当社の事業所でも、介護の専門職が相談に応じます。悩まずにご相談ください。
ニチイ学館 拠点検索
https://www.nichii-kaigo.jp/base/
また、認知症に関する専門的な知識を持つ、「日本認知症学会認定専門医」を訪ねるのも、選択肢のひとつ。同学会のウェブサイトから、専門医が在籍する最寄りの病院を簡単に探すことができますので、万が一に備えて覚えておくことをおすすめします。