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認知症介護における声掛けと誘導

2015年10月22日

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お客様プロフィール
H様 89歳 女性
要介護度
要介護4

より食事が食べられるように

H様は認知症、子宮ガン、高血圧があります。
身体状況は、立位保持のみ可能で歩行が難しいことから車椅子を使用しています。グループホーム入居前は、夫の介護をしていましたが、夫が他界後、認知症が悪化して、入居に至りました。子供は二人おり、現在は他県に在住しています。

2004年9月にグループホームに入居した時から食は細く食事摂取量は多いとはいえませんでした。
しかし、今年2月頃から食べ物で遊ぶようになり、スタッフの声掛けにも反応を示さないことも多く、明らかに食事量が減少しました。
体力や身体状況の低下も見られ、医師から胃ろうの造設を勧められましたが、ご家族は自然に任せることをを希望し、積極的治療は考えていないとおっしゃっていました。
私たちは、H様が食事の時間を楽しいと思っていただき、少しでも多く食事を食べていただくことを目標としました。

食事とコミュニケーション

1つ目の仮説として、食事は召し上がらないけれども、おやつ等の甘いものは好んで召し上がっていることから、好きなものであれば食事量も増えるのではないかと考えました。約1ヵ月間、スタッフと協力してH様の食事で、召し上がった物(少量でも口をつけた物)と食事の時の様子を観察し記録に残していきました。

結果として、H様が口にする物は甘い物とご飯・味噌汁で、おかず類はほとんど食べない事が分かりました。また、食器を眺めたり、食材を混ぜる、取り分ける等の動作をしているときは食が進まず、誰かと話しをしているときは良く召し上がる事が分かりました。

食べ物による違いでは、ふりかけご飯では少量食べていただけるものの、混ぜご飯では遊んでしまい召し上がりませんでした。
味噌汁の時、具で遊んでしまうため、具無しの味噌汁にし、「身体が温まりますよ」と声をかけたところ、飲んでいただけることが多いことがわかりました。パンの時にも同様に一口サイズにし、「食べやすそうですね。」と声をかけると「これを食べるんですか~」と召し上がっていただけました。

提供方法による違いでは、1枚のお皿に1種類の食材のみにする事でお皿の中で混ぜたり、取り分けることがなくなり、食べて頂けるのではないかと考えましたが、おかずを1つの皿に集めたり混ぜたりしてしまいました。また、量や大きさにより『こんなには食べられません。』と言われるので、お皿を小さくして全体の量を減らしてみましたが、どれもあまりいい結果は得られませんでした。

場所の違いでは、別室でスタッフと一緒に、『エイエイオー』・『パクッ』等の擬音を使い誘導すると、表情が豊かになり『これを食べるんですか~』と言われ、かなりの量を召し上がっていただけました。

以上のことから、コミュニケーションをとりながらの方がH様の表情や態度に違いが見られ、食事量が増える事がわかりました。
また、気持ちを和らげ、余裕のある声掛けをし、「(これを飲むと)身体が温まりますよ」などのメリットを提示するような話しかけ方をすることがH様には効果的ということがわかりました。

警戒心を薄め、声掛けを工夫・統一することで摂取量増加へ

H様の話しや行動に同調することで、H様の気分が良くなり警戒心が薄れ、食べていただけるようになりました。

H様は間違えた事をしているとは思われていない為、それをスタッフに止めていただくよう声かけされても良い気持ちはしません。また、そのような状況でスタッフが『○○して下さい。』と誘導しても、拒否されるのは当然と思います。H様の話す事を否定するのではなく肯定し、H様の話しに同調することで警戒心が和らいだのではないかと思います。

最初は食事に興味を示さずにスタッフの声掛けにも反応しなかったH様も、いつの間にか声掛けに反応し笑顔を見せるようになり、食事を食べながら「おいしいよ~。」、「なんですかこれは。」など感想を言っていただけるようになりました。
目標に挙げた『楽しく食事ができ、摂取量を増やす』と言う事は達成できたと思います。

これからもご家族・お客様のご希望に近い介護サービスを提供し、満足していただけるようスタッフ一同取り組んでいきたいと思います。

この事例はわたしが担当しました。

この事例はわたしが担当しました。

職種
介護職員
担当サービス
グループホーム
所属施設
高松支店 ニチイケアセンター古高松
名前
奏泉寺 崇

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